片桐牛乳店物語 第一話

「いつも平らでいること」 「威張るなや」 「勉強ができなくてもあいさつができれば上等!」
これが創業者 片桐勇士英が孫の私によく言っていた言葉です。
勇士英は、明治44年11月30日、日越地区の貧しい農家の長男として生まれました。
勇士英の父は、勇士英が20歳を迎える前に病気で亡くなり、若くして母(スイ)と弟妹の生活を支える大黒柱となりました。
…と言っても農家で米や野菜を作り、リヤカーに乗せて長岡市川東まで野菜売りをするなど砂利道の道路、車のない時代で大変だったといいます。
妻 フミと結婚をして3男2女と子宝に恵まれましたが、貧しい生活は変わりません。
そこで勇士英は本来の「動物好き」と「発明」(今でいうアイディアマン)な性格もあり、「酪農」を夢見て行動に移します。
昭和26年、家族に相談せず子牛を1頭「馬喰(昔の家畜販売業者)」から買ってきました。
何よりも母(スイ)に反対されることを恐れたからでした。母(スイ)には、「ヤギを買ってきた」と伝えており、翌日小屋から「モォ~!!!」と牛の鳴き声がして大バレ。
波乱万丈の酪農家のスタートだったと笑い話として語り継がれています。
片桐由美子
